飯森 一博 自己紹介はこちら

後悔しない家を建てたいあなたへ②

2014/11/01(土) 日々のこと飯森 一博

【安心感を具体的に探ってみよう】

どのような住宅会社でも、「自分たちの建てる家なら大丈夫です」と言わないところはないでしょう。でもそこで納得してしまわないで、「その根拠は何ですか?」と尋ねてみてください。どのような答えが返ってくるでしょうか。

「良い木を使っているから」。「腕の良い大工を使っているから」。「○○工法だから」。うーん・・・わかったようなわからないような?

「良い木を使えば何があっても絶対大丈夫なの?」
「大工さんの腕だけが頼りなの?」
「○○工法と言われてもわからないし・・・」

などなど、余計に疑問がわいてくるのではないでしょうか。

結局、安心感が得られないまま、「これだけ熱心に説明してくれているから大丈夫だろう」とか、「現場を見たら木をたくさん使っていたし、きっと頑丈なはず」といった理由で、住宅会社を選んでいる方は結構多いのです。

【安心感が見えにくい理由】

これは少々極端な例ですが、建物に太い木をたくさん使っていても基礎がしっかりしていなければ、地震などが起きた場合、家ごと倒れてしまうということが起こり得ます。

また、木と木の接合部が緩んで建物の倒壊につながるケースが多いため、施工品質がとても重要なのですが、ここを大工さんの経験や勘だけに頼るとなると、品質にばらつきが生じてしまいます。

だからと言って、家づくりの経験のないお客様が、自身で基礎を確かめたり、現場の施工を管理したりするのは現実的に不可能。そこで「お宅を信じて任せるから頼むよ」となるわけです。しかし考えてみると、何千万円もの費用を支払って家族の命と財産を守る家を建てるという大事業に対してずいぶん大胆な選択を、お客様は強いられていると言えなくありません。

【誰が見ても分かる「具体的な安心感」を示す】

こうした住宅業界のあり方に対し、技術者の集団であるパナソニックは常々、どうも馴染まないものを感じていました。「安心感は目に見えるものでなくてはならないのでは?」。元々が技術者だけに、はっきりとしたデータを示さないと人を納得させられないという考え方が染みついています。「しっかりした職人です」。「きっちり施工しています」。だから「たぶん大丈夫です」では誰も納得しないというのが、パナソニックの思いでした。

そこで踏み込んだのが、建物の強さを数字にして示す『構造計算』という領域でした。

 

【車の衝突実験と同じ事を住宅へ】

構造計算という言葉は、2005年の耐震偽装問題によって広く一般に知られるようになりました。ビルやマンション、木造でも3階建以上の建物等は、構造計算が法律で義務付けられていますが、2階建以下の木造一戸建住宅(延べ床面積500㎡未満)には義務付けられていません。パナソニックが考えたのは、すべての住宅において、この構造計算を行うというものでした。

なぜ構造計算をしようと思ったのか、ヒントは新車の発売前テストにありました。車をわざと衝突させてその壊れ方を見る衝突実験。人の命を乗せるものだから、万一の場合に生命を守れるかどうかのテストは欠かせません。この車の衝突実験と同じ発想から、構造計算が必要と考えたのです。どういうことか、もう少し詳しくお話ししましょう。

【災害シュミレーションで安全性を確認】

住宅は車のように同じモデルを量産するものではないので、実際壊してみて・・・というわけにはいきません。けれど、万一の災害に対して家の強度が耐えうるかどうかは、立証しておきたい。そこでパナソニックが考えたのが、基礎から屋根まですべての部分の強度を計算し、それをコンピュータにインプット、画面上に実際と同じ強度をもつ家を建ててしまおうというものでした。

そしてそこに地震・台風・豪雪などの負荷をかけて、建物にどのような影響が出るかを実験します。つまり、災害が起きた場合のシミュレーションを何度もコンピュータ上で行い、改良を繰り返しながらバランスの良い構造体をつくりあげていくという、これまでになかった方法が、この構造計算による家づくりでした。

  

【構造計算による家づくり】

コンピュータ上で何度も家を建てては壊し、バランスの良い構造を持った家をつくり上げていくという家づくり。
実際の手順をご説明させていただきます。

≪テクノストラクチャーの家づくりの進め方≫

① お客様のご要望を、朝日ホームのスタッフがヒアリングしながら、ご一緒にプランを考えます。

② パナソニックにプラン図が送られます。

③ パナソニックの専門スタッフがプラン図をコンピュータに落とし込み、テクノビーム、耐力壁などを配置します。

④ その住宅の建つ地域に応じた地震力、風圧、積雪などの条件を入力して、災害シミュレーションを行います。

⑤ 強度が不足している部分を補強するなどのプラン修正を行います。場合によってはプラン変更をお願いすることもあります。

⑥ お客様が最終プランに納得され、構造計算もOKということになりましたら、初めて施工がGOになります。

   それに合わせた部材が現場に搬入されます。

⑦ 新邸のお引き渡し時に構造計算書、構造計算保証書を一緒にお渡しします。

【デザインと安心感の関係は?】

ここまで読んで下さった方の中には、「構造計算をすると好きなプランにできないのでは?」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんね。でもご心配なく。むしろその逆でデザインの自由度はアップします。

なぜなら構造計算によって強度が確保できていることがわかれば、どんなに大胆なデザインもOKだからです。反対に、勘と経験に頼る家づくりの方が、「家の形はできるだけ真四角に近く」「窓は大きくしすぎない」「家の角に窓をもってきてはダメ」など、制約が増えやすいかもしれません。

【住宅にこそ不可欠な構造計算】

一般住宅は、マンションやビルに比べ形も間取りもバラバラで、計算が難しい、あるいは手間がかかるといった理由から、これまで構造計算がなされてきませんでした。しかし、一軒一軒形やデザインが違うからこそ、しっかりと構造計算をし、弱いところを補強しておくべきだというのが、パナソニックの考え方です。

構造計算によって「たぶん大丈夫」という曖昧な言い方ではなく、「ぜったいに大丈夫」に限りなく近づけたいというのが、私たちの思いです。もちろん、大自然の力に対して「絶対」と言い切ることのおこがましさも良く知っているつもりです。それでも、少しでも被害を小さく、安心できるものをという向上心は失ってはならないものだと思います。

安心感を、目に見えるかたちで。それが技術立国・日本の一端を担ってきた私たちのささやかな矜持です。

 

 

 

 

 

 

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